今回は、光造形方式の利点について、解説を行っていきます。
ロボット系研究室を卒業し、機械系エンジニアとして働く筆者が、
光造形方式の3Dプリンターの利点と欠点について、初心者にもわかりやすく解説していきます。
結論
光造形方式は、液体状の樹脂を光を当てることで硬化させて成形する方式。
家庭用3Dプリンターとしてはトップレベルの精度を誇り、フィギュア造形向き。
液体の扱いが少し面倒なのと、換気の怠慢によるアレルギー発症に注意が必要。
光造形方式の仕組み
光造形方式は、その名前の通り、光を当てることによって材料を固める方式です。アクセサリー作りに使われるUVレジンのように、ライトを当てた部分のみが硬化します。固めたい部分のみに光を当てていくことで、思い通りの形を実現していきます。
液体材料の使用により、層と層の間に隙間が生まれにくく、積層痕(断面に段ができる状態)ができにくく、強固な成形ができます。
また、光の制御が高精度であることが特徴であり、家庭用として広く普及している熱融解積層方式に比べて高精度な造形をすることが可能です。
光造形方式の使用例
使用例としては、高精度であることを活かした精巧な部品や、フィギュア作成などが向いています。
また、熱融解積層方式の場合では、個数を増やすと造形時間も増えます。
しかし、光造形方式の場合では、同時に成形する個数を増やしても、光の量が増えるだけで、造形時間に大差は生まれません。
よって、小さいパーツを一度に何個も成形したい場合にも、光造形方式が向いています。
光造形方式の代表機体とお値段目安
光造形方式の3Dプリンターは様々な会社が販売しています。
値段は20,000円台から販売されており、値段によって性能やサイズはピンキリです。
初心者のうちは、初歩的なトラブルに見舞われることもありますので、
Youtuberやブログの掲載が多い製品や安心できる企業から購入するのが良いでしょう。
代表的な製品としては、
1Anycubic Photon シリーズ24,999円〜
2018年に大躍進し、大ヒットした製品。レビュー記事も多彩。
2Elegoo Mars シリーズ 26000円〜
多くのYoutuberが限定クーポン発行をきっかけに紹介。元はマイコンの教育キットを販売していた会社であるが、3Dプリンターに関するノウハウも蓄積してきた印象。より大きいサイズでは「SATURN」シリーズがお勧め
3。Phrozen シリーズ 34,999円〜
2017年12月に行ったクラウドファンディングを皮切りにスタートした会社。
Phrozen Sonic Mini 4K は、小型の光造形3Dプリンターの中では最高峰の精度を誇り、特に「Sonic」シリーズは造形速度も素晴らしい。
デメリット
光造形方式は高精度!というのが一番の売りですが、デメリットも存在します。
まず、扱う材料の洗浄が大変である点です。液体であるが故に、手や皮膚に誤ってくっついてしまった際の洗浄が大変です。また、専用のトレイの洗浄や、使用後に余った液体を元のびんに戻す作業にも手間がかかります。
固形のフィラメントを材料とする熱溶解積層方式の3Dプリンターと比較すると、材料を扱う手間がかかるかと思います。
また、レジン液は、換気を十分に行わないと、レジンアレルギーを発症するケースがあるため、注意が必要です。一度発症してしまうとレジンの近くにいるだけで発疹が出たり、鼻炎を引き起こします。レジンアレルギーなどでYoutubeで検索すると、実際の体験者の話が聞けるので、購入前に確認しておくと良いかもしれません。硬化後のレジンではアレルギーを発症することはないので、硬化前の液体を扱う際にご注意ください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
高精度で、精巧な造形を行いたい!という方に光造形3Dプリンターはお勧めです。
しかし、レジンの扱いには注意を払う必要がありますので、窓際や換気扇の近くにするなど、作業環境を十分検討してから購入するようにしましょう!
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